【眼科コラム】飛蚊症について (2021年6月1日)
眼球の硝子体(しょうしたい)に濁りができたためにおこる症状です。本来透明なはずの硝子体に濁りが生じることで、目の前に「黒いものがとぶ」ことを飛蚊症といいます。濁りは目を動かすといっしょに動きます。大きさや量によって見えるものの形や大きさが異なります。
蚊が飛んでいるように見えるという意味ですが、実際には黒いスス、糸くず、お玉じゃくし、輪などが見えることもあります。
先天性(生まれつき)のものと後天性(生まれた後)のものに分けられます。
①先天性
胎児では硝子体の中に血管が走っていますが、この血管は出産までには消失します。その血管の一部、あるいは血管周囲の組織の一部が生後も硝子体の中に濁りとして残ることがあります。生後、視力さえ良ければ特に急いで治す必要はなく、定期的に検査をして異常がなければ放置していても心配のないものが多いです。
②後天性年をとることによって生じた硝子体の変化による「生理的硝子体混濁」と、硝子体の周囲の出血や炎症性物質が硝子体内に入ってきたもの、遺伝性の硝子体の病気、全身の病気によっておこる「病的硝子体混濁」とがあります。以下に代表例を説明します。
「生理的硝子体混濁」~離水と後部硝子体剥離~
・40代になると、透明なドロッとした硝子体が変化し、硝子体の内に液体がたまった空間のようなものができ離水という現象がおきます。この空間は徐々に年齢とともに大きくなり、一方硝子体そのものは縮小するので、この変化によって生じた硝子体の濁りにより飛蚊症を生じます。
・離水によってできた液体のたまった空間は、やがてその後側の壁が破れて液体は流れ出し、前方に硝子体は収縮し、後方に液体に置換された硝子体がたまります。硝子体はもともと網膜と後方で癒着していますが、これらの一連の流れでこの癒着がはがれることを後部硝子体剥離といいます。突然の飛蚊症の原因として最も多く、60代前後に好発し、近視が強い場合はより早くおこります。また、白内障の手術をうけた場合には、1年以内に出現することもあります。
「病的硝子体混濁」~出血と網膜病変~
・出血
後部硝子体剥離時に網膜の血管がひっぱられて出血し、それが硝子体の中に流れ出て硝子体出血になることがあり、飛蚊症の原因となります(黒いススが突然舞った、幕が垂れてきたなどの訴えが多いです)。
・網膜裂孔、網膜剥離
後部硝子体剥離以外にも、硝子体と網膜の癒着している部分がひっぱられた結果、網膜に穴があいてしまうことがあり、これを網膜裂孔といいます。頻度としては、後部硝子体剥離の10%程度におこります。網膜裂孔から液体状になった硝子体が網膜の後に入り込んで、網膜剥離に進展することも稀にあります。
・ぶどう膜炎
虹彩・ 毛様体・ 脈絡膜という3つの組織の総称であるぶどう膜に炎症がおこることで、炎症性物質や白血球が硝子体中に放出され、硝子体混濁の原因になります。
眼科で精密検査をうけ、生理的なものか、病的なものかを確認することが大切です。
特に60歳前後に突然飛蚊症を自覚した場合には、なるベく早く眼科を受診し、後部硝子体剥離の有無、後部硝子体剥離によって生じる可能性のある病気、特に網膜裂孔の有無をチェックすることが大切です。
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